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【女性向け】冬が、嫌いだ。

2013-11-14

冬が、嫌いだ。

クリスマスのイルミネーションに、いい歳してはしゃぐ人が鬱陶しい。
年末年始の浮かれた街が煩わしい。
バレンタインの甘ったるい空気が莫迦ばかしい。

だから、私は今年も世界を拒絶する。

マフラーで鼻まで覆い、長い髪の毛をたらし、下を向いて歩く。
浮かれた人達の顔を見なくて済むように。

煩わしい。
鬱陶しい。
苛立たしい。

疎ましい。

ひとりぼっちの私を嘲笑うかのように通り過ぎる人達が、腹立たしい。

だから、ではないけれど、どうせ一人なら、ひとりぼっちなら、と、私は自分の誕生日に一人で旅をする。

縁もゆかりもない土地で、
ひとりぼっちで道を歩き、
名所を巡り、
美味しいものを食べるのだ。

どこにいたって、一人なら、
祝われることも、
祝福されることもないのなら、
せめて自分が生まれた大事な日を自分だけのために使おうと、
そんな、変人まがいな理由で、私は遠くへ逃げるのだ。

繋ぎたい手も、
絡ませたい腕も、
抱き締めたい背中もない。

誰もが私に無関心で、無関係で、
そんな土地で私は毎年、歳を取る。

一人きりで。
ひとりぼっちで。

寒い寒いとマフラーの中で文句を云いながら、誰にも必要とされない自分を、憐れんで。

寒いのは嫌い。
寒いのは、惨めだから。
どんなに服を着ても、芯から凍てつくような寒さはちっとも柔がない。

寒いのは、嫌だ。

冬なんて、嫌いだ。

人が恋しくなるから。

人恋しいこんな季節は嫌い、大嫌い。
なくなってしまえばいい。

隣に誰もいないことを嘆いて、
幸せそうな人を羨んで、
寒い寒いと肩をすぼめて歩くこの季節が大嫌い。

あなたが、隣にいないから。

ひとりぼっちの私を嘲笑う冬なんて、さっさと過ぎてしまえばいい。

「なんでそんなに嫌うのか」と聞かれたことがあった。
一つ一つ丁寧に、八つ当たりのような理由をあげた私に、その人は、
憐れむわけでも、
蔑むわけでもなく、静かに納得した。

納得して、ほんの少しだけ悲しそうに微笑んだ。

私に嫌われた冬を思って、憐れんだ。

今日は平日だから、彼は会社にいるだろう。
そうして、私がいないことさえ気付かずに、仕事をしているのだろう。

それどころか、彼は、あんな質問をしたことさえ、覚えていないだろう。

私は道端の小石に八つ当たりする。

寒い。
ここは、とても寒い。

ひとりぼっちな私をからかってくれるあなたが、いないから。

サムネイル 写真素材 足成 様
http://www.ashinari.com/

 

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