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思考を放棄して唄に逃げた人の話

2014-04-24

 

彼女は、歌しか唄わなくなった。
「唄ってると頭が空っぽになるから」
彼女がそう云って笑ったのは、いつの話だったのかも、もう思い出せない。
そうして日に日に痩せ細る彼女は、唄うための筋肉すらなくなって、それでも乾いた唇で、薄く唄を紡いでいた。
段々と小さくなった唄声は、ある日、唐突に途絶えてしまう。
彼女はもう、唄わない。
唄えない。
彼女にどうして思考を放棄したのかと、教えてもらう機会は永遠になくなってしまった。

サムネイル 写真素材 足成 様 http://www.ashinari.com/

 

 

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