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こんな自分が嫌いで嫌いで仕方ない。

2014-05-10

 
交通事故みたいなものだった。
中学生の頃、両親に捨てられて以来、人間関係を表面上で滑らせ、当たり障りなくすごしてきた。
決して誰も心に受け入れず、誰にも心を許さない。
一番信頼していた人間に捨てられれば、誰だって気持ちが荒むだろう。
だから、二十の半ばを過ぎて出来てしまった恋人は、いわば、過失だったのだろうと思う。
ひっそりと、生きて、誰にも看取られることなく、ひっそりと死にたかった。
だから、誰の印象にも残らないように細心の注意を払って生きてきた。
うっかりしていたのだと思う。
その人は靡かないこちらに構うことなく、来る日も来る日も愛を囁いた。
情にほだされたといってもいい。
気付いたら、恋人になっていた。
三年くらい一緒にいて、無条件で甘えられる存在を逃すのが惜しくなった頃、結婚をちらつかせたら、相手は去っていった。どうやら結婚をする気はなかったらしい。
まあ、仕方がない。こういうこともあるだろう。
三年前に戻るだけだ。悲観する事じゃない。
そもそも私は一人で死んでいくと決めたのだから、こんなの寄り道みたいなもので、気まぐれだったのだから。
久々に拘束されない連休は清々しく、着信音のないスマフォはとても静かで。
なんとも過ごしやすい。
ああ、静かだ。
鳥のさえずりさえよく聞こえる。
そこまで思って、頬に涙が流れた。
なんで…。
自覚した途端、涙は堰を切って溢れ出る。
違う。同じじゃない。
三年前までと、全然違う。
何も持たなかった過去と、知ってしまった今では、こんなにも胸が痛い。
知ってしまった。
傍にいたいという気持ちを。
抱きしめたいという気持ちを。
頭を撫でて貰うことがこんなにも嬉しいって気持ちを。
この人と一緒に生きていきたいという気持ちを。
沢山の気持ちを植え付けられた。
荒野のようにかさかさだった地面が水分を含んでいった。
だから嫌だったんだ、特別な人を作るのも、特別な想いを持つのも。
失った時に、耐えられない。
喪った時に、生きていられる自信がない。
私はこんなにも弱いのだから。
涙は止めどなく溢れ、みっともなく嗚咽が漏れる。
(なんでみんな私から離れていくの?)
そんなの決まってる。自分にだって非があった。
愛して貰ってばっかりで、欲しがるばかりだったじゃないか。
ああ、もう。
こんな自分が嫌いで嫌いで仕方ない。

サムネイル 写真素材 足成 様 http://www.ashinari.com/

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