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【映画予告風】インテルメディオ【和風】

2014-06-13

 

朝子「わたくしの戯曲、一言一句違えることは相成りませぬ。
もし、違えたとあらば、即ちその瞬間、幕を下ろして頂きとうございます」

ナレーション「それは、歴史の闇に消えた日本人女性初の劇作家の物語」

半次郎「この戯曲書いたの、あんたなんだって?」
朝子 「それがなに?」
半次郎「女が文学ねぇ」
朝子 「あら、紫式部も清少納言も女じゃなかった?」
半次郎「観阿弥と世阿弥は男だろ?」
朝子 「というか、貴方、誰」
半次郎「申し遅れたね。俺は川上一座の松前半次郎(まつまえ はんじろう)。
なあ、あんた。俺たちのために戯曲を書かないか?」
朝子 「川上一座…。聞いたことあるわ」
半次郎「それは光栄だね」
朝子 「芝居を打っては官警に追い回されているって」
半次郎「これはまた手厳しい」

ナレーション「女というだけで評価されない劇作家と、歌舞伎ではないと云うだけで評価されない俳優」

朝子 「また来たの」
半次郎「麗しの間島朝子(まじま あさこ)嬢のご尊顔を拝見したくてね」
朝子 「私の本は使わせないわよ。なぜなら、」
半次郎「政治批判の道具にされることが我慢ならない、だろ?
そもそも芝居は政治批判から派生したんじゃなかったかな?」
朝子 「…それは中世の時代。元は宗教的観念からよ」

ナレーション「世間から爪弾きされた者達が出会ったとして、」

半次郎「この国の新劇は四百年遅れてる」
朝子 「当たり前でしょ。ヨーロッパで演劇の革命が起こった頃に鎖国したんだもの。
いいじゃないの、伸びしろが四百年分あるってことよ」

ナレーション「歴史は彼らを決して認めはしない」

朝子 「この国は、百年経とうと変わらない。
きっといつまでも女が上に立つたびにもてはやされるんだわ」

ナレーション「女は未来を憂い」

半次郎「女の書いた本の何が悪い!これは女が書いたというだけで貶められていい作品じゃないだろう!」

ナレーション「男は生きた時代を嘆いた」

朝子 「私、男に生まれれば良かったのに」
半次郎「俺は君が女性で良かったよ。こんなにも君を好きになれた」

ナレーション「映画 インテルメディオ。20XX年 夏、公開」

半次郎「読み合わせに付き合って貰えるかい?」
朝子 「なんで私が」
半次郎「少しでも君と一緒にいたいから、とか?」
朝子 「莫迦ばかしい」

参考文献
詳解 日本シナリオ史(上) 新藤兼人/岩波書店
日本映画史100年 四方田犬彦/集英社新書
日本文学史[三訂版] 監修 犬養廉、神保五彌、浅井清/桐原書店 他

サムネイル 写真素材 足成 様 http://www.ashinari.com/

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