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雪のような人だと思った。

2016-03-12

 

雪のような人だと思った。
冷たいのではなくて、多分、儚い。
黒い服ばかり着ているくせに、それでも雪を連想してしまうのは、 きっと、人の優しさや暖かさに触れたら、彼女が溶けて消えてしまいそうだから。
雪と言っても雪崩や吹雪で、誰かを傷付ける種類のものではなくて、彼女の場合は、薄く積もっては踏み荒らされるような、人肌に触れれば溶けてしまうような、そんな雪。
だから、彼女がお気に入りの黒いコートを着て、雪の舞う中、空を見上げていたりすると、どうしようもなく、不安になる。
消えてしまうんじゃないかと、真っ白な中に溶けてしまうんじゃないのかと。
おいで。
もどっておいで。
そこは冷えてしまうよ。
いかな雪に似てるからって、彼女は雪じゃない、人間だ。
手を握って溶けてしまうわけがない。
溶けてしまうなら、僕が彼女を消してしまうなら、それはそれで本望なのかも知れないけれど。
それでも彼女は雪ではなくて、人間だから。
中に入ろう。ココアを用意するよ。
そう声を掛けると、彼女は白い寒さに鼻を赤く染めながら、嬉しそうに笑って見せた。

サムネイル 写真素材 足成様 http://www.ashinari.com/

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